整理してほしい請求書や書類、または撮影したレシート画像をフォルダに放り込む。それだけ。

名前はつけない。分けない。並べない。入れているのは請求書やレシートだけではなく、業務委託の契約書も、税務署から届いた封筒も、同じところに放り込む。あとは「処理して」と一言だけ声をかける。

戻ってくると、こうなる。

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もくじ(全 5 節・約 7 分)

01

困りごと

うちには、経理の担当者がいない。能力の話ではなく、そういう規模だというだけ。だから書類が届くたびに、毎回おなじことを考えることになる。

この紙の名前をどう付けるか。日付を頭にするのか、取引先を頭にするのか。どのフォルダに置くのか。先月と同じ付け方だっただろうか。

1枚ならすぐ終わる。ただ、これを1枚ごとに考えるので、考えるのが面倒になった書類から順に、机の上に残っていく。メールの添付は開かないまま。スマホで撮ったレシートは、写真の中に埋もれたまま。3か所に散らばって、どこに何があるか誰も把握していない状態になる。

机の上に積まれたままの書類

机の上と、メールの添付と、スマホの写真。先月は何枚あっただろうか。まずは、それを1か所に集めるところから。名前はつけなくて構わない。

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02

やったこと

人がやることは、4つだけ

  1. 名前を気にせず「未処理」に放り込む
  2. 「処理して」と一言だけ声をかける
  3. 出てきた一覧に目を通して、OKと返す
  4. 片づいたら、ネット上へも送る一言を打つ(PC上とネット上の2重保管にするため)

どれも数秒。この4つ以外に、手は動かしていない。

人がやることとAIがやることの分担
「処理して」と声をかけるところ

AIがやるのは、名前をつけて、行き先を決めること

さっきの「毎回考えなければならないこと」を、そのまま渡している。

中を読んで、何の書類かを見分ける。日付と取引先と金額を拾って、決まった形の名前に直す。その種類の置き場所は先に決めてあるので、そこへ運ぶ。同じものがすでに入っていないかも見ている。

やっているのは、人が1枚ずつ頭の中でやっていた判断とおなじこと。違うのは、こちらが毎回思い出さなくてよくなったことだけ。片づくと、何をどこに入れたかの一覧が返ってくる。

処理が終わったあとに返ってくる一覧

取引先からの請求書も、税務署から届いた封筒も

放り込めるものに、あまり制限がない。

店でもらったレシートも、取引先から届いた請求書も、業務委託の契約書も、税務署から届いた封筒も、商標の登録証まで、同じところに放り込むだけ。

置き場所を種類ごとに先に決めてあるだけで、どれをどこへ入れるかは、こちらから指定していない。

この中にないものが来ても、やることは変わらない。うちにある書類の種類だけで、1種類から始めて構わない。

書類の種類ごとに決めてある置き場所

迷ったら、止まって聞いてくる

たとえば、こういうことがある。1つのファイルに、請求書が2件ぶん入っていた。

AIは勝手に決めなかった。そこで手が止まって、聞いてくる。このファイルには請求書が2件ぶん入っているが、2つに分けてそれぞれに名前をつけるか、それとも1つのまま、先に来ているほうの日付で名前をつけるか。

こちらは2つに分けて、と返すだけ。返事をもらってから、はじめて動く。

大事なのはここで、聞かれているあいだ、そのファイルは動かない。名前も変わらない。聞かれるのは、だいたい10枚に1枚くらい。残りの9枚は、黙って片づいている。

勝手に決められるより、迷ったら聞いてくれるほうが安心して任せられる。1年やってみて、いちばんそう思うところ。

迷ったときに返ってくる確認の質問

03

実際の変化

ざっくり見積もると、こんなところ。

変わったこと

1枚に6分くらいかかっていたのが、30秒くらいになった
年に700枚くらい書類がある会社なら、月に5時間ちょっと。年に1,800枚あるなら、月に13時間くらいは浮きそう
人に頼んでやってもらうと思えば、月に1万円弱から、書類が多ければ2万円ぶんくらいの手間
新しく買い足したものはない。いま仕事で使っている道具を、そのまま書類にも向けているだけ
書類が多い会社ほど、効きかたも大きくなる
書類を「あとで整理する山」として溜めなくなった
「あの書類どこだっけ」で探さなくなった
PC上とネット上の2重保管にしてあるので、パソコンが壊れても書類は消えない
片づいたあとの棚

人手でやっていたら、たぶんここまでの水準ではやらなかったと思う。名前を揃えるのも、二重に入っていないか見るのも、面倒だからどこかで諦めていたはず。

04

つまずいたところと直し方

1. ネット上へ直接送らせようとして、できなかった

AIが一度に送り出せるデータの大きさに上限があって、領収書1枚ぶんですら通らなかった。結局「整理まではAI、ネット上へ送るのは決まった一言を本人が打つ」という分担に落ち着いている。人がやることの4つ目は、これが理由。全部やらせようとすると、かえって止まる。どこで人に渡すかを先に決めたほうが早い。

2. 帳簿ソフトへの書き込みは、あえて禁止にした

できないから止めたのではない。1年目は「いつもと違う」に気づく基準が、まだこちらに無いから。できることと、やらせることは別だと考えている。

3. 仕訳までAIに作らせる機能も、はじめから使わない方針にした

AIに任せる範囲は、間違えたときに人が気づけるところまで。そう決めている。

05

能登の仕事でどう使えるか

ここまでが、いま動いているところ。ここからは、これから作るところ。

ここまでやる、というライン

目指しているのは、書類を受け取ってから税理士さんに渡すまでを、こちらが何も覚えていなくても回る状態にすること。まだ動いてはいない。これから作る。

① LINEで送るだけ

レシートを受け取ったその場でスマホで撮って、送る。それだけで名前をつけて棚まで運んでくれるようにしたい。そうなれば、パソコンの前に座らなくて済むはずだし、財布に溜めておく必要もなくなる。

LINEで送るだけの画面イメージ

② 決まった時刻に、ひとりでに動く

こちらが声をかけ忘れても、溜まっているぶんを見にいって、全部の名前を変えて、決めておいたフォルダに入れておいてくれる。ここも、これから作るところ。

決まった時刻に動く画面イメージ

③ 月末になったら、税理士さんへまとめて送る

その月ぶんを全部添付して、何が何件あるかまで本文に書いた状態で。添付し忘れも送り忘れもない形にしたい。月末に思い出さなくてよくなるのが、いちばん大きいと思う。

月末にまとめて送る画面イメージ

この3つは、それぞれ別の便利機能ではない。受け取る・並べる・渡す、で1本につながっている。ここまでつながると、こちらがやることは「レシートを撮る」だけになる。

明日からできること

うちは決算のところだけ税理士さんにお願いしているが、渡し方は変えていない。名前の揃ったPDFを、そのまま渡すだけ。特別なことは何もしていない。

最初の一歩は1つだけ。「未処理」という名前のフォルダを1つ作る。あとは、何も考えずにそこへ放り込む/週に1回、一言かける/出てきた一覧にOKと返す。

書類が溜まるのは能力の問題ではなく、1枚ごとの判断を人の頭でやっているから。その判断をAIに渡すだけで、能登の小さな会社でも、パソコン1台で回るところまで来ている。

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実践ノート ・ 2026.08.16 ・ 読了 8 分

ばらばらの伝票395枚を、AIが1つの表にする

紙の伝票には数字があるのに、比べられない。取引先ごとに向きも並び順も違うため、同じ品物の値段すら横並びで比較できないからだ。手入力で打ち直せば約40時間(1日2時間で約3週間)かかる計算になる。この記事は、4つの取引先から届いた紙395枚・明細3,886行を、AIを使って1つのきれいな一覧表(エクセル)にまとめるまでの手順と、うまくいかなかった失敗の記録だ。

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